前回、財務省から公表された令和7年上半期における税関での知的財産侵害物品の差止状況を確認しました。
そこから推測できたのは、令和6年上半期には「数万~数十万点規模の知財侵害品(特許権侵害品)が含まれた一般貨物が1件から数件存在した」ということ、すなわち「大口案件」の存在でした。
今回は、この大口案件で発見された特許権侵害品が、具体的にどの特許権を侵害した可能性があるのかを考察します。
今回もまずは公表資料のグラフを見てみます。なお、本記事中のグラフはすべて財務省ホームページから引用しています。

このグラフは、発見された知財侵害品を商品種別に分類したものです。どの権利を侵害しているかは区別されず、例えば商標権侵害のバッグも意匠権侵害のバッグも「バッグ類」として一括計上されています。「件数」と「点数」の違いについては、前回記事(における日本地図の画像の前後)をご参照ください。
これらのグラフを眺めて何かお気づきになることはあるでしょうか。
これらのグラフから読み取れる大きな変化は、点数ベース(下段)において「煙草及び喫煙用品」が消えている点です。令和6年上半期には全体の24%を占めトップシェアだったものが、令和7年上半期には「その他」に吸収されてしまいました。具体的には176,825点から6,408点へと激減しています。
一方、件数ベース(上段グラフ)では「煙草及び喫煙用品」はシェアが小さく、令和7年上半期はもちろん令和6年上半期においても「その他」の中に含まれています。
つまり、令和6年上半期に「煙草及び喫煙用品」は、発見回数(件数)は少なかったものの、発見個数(点数)は多かった、ということになります。
このことから、前回推測した「大口案件」は、「煙草及び喫煙用品」の特許権侵害品を大量に含むものだった可能性が高いと考えられます。
では、この特許権は具体的にどの権利だったのか。税関ホームページでは輸入差止申立が行われている知的財産権が公開されています。本記事執筆時点で「煙草及び喫煙用品」に該当しそうな特許権は1件のみ、日本たばこ産業株式会社の特許第6552028号です。
次回はこの特許権の内容を詳しく見てみたいと思います。
(なお、令和6年上半期には輸入差止申立が行われていたものの、本記事執筆時には申立が行われていない特許権が存在する可能性もあります。そのような権利は、本記事執筆時点で税関ホームページから検索することができません。よって、「大口案件」の特許権がこの特許第6552028号であると断言することはできません。)