2025.02.20
COLUMN

「特許出願しろ」と言われたけど、どうする? 社内に相談できる部署も人もいない技術者が最初に知るべきこと

「特許出願しろ」と言われたけど、どうする? 社内に相談できる部署も人もいない技術者が最初に知るべきこと

1. ある日突然、「特許出願しといて」と言われたら?

あなたは日々、製品や技術の開発に取り組んでいる技術者かもしれません。
ある日、そんなあなたに上司から突然の指示が飛んできます。

「いいじゃん、それ。特許出願しといて」

知財部もなく、社内に特許に詳しい人もいない。
「え、特許出願ってどうやるの?」と戸惑う技術者も多いでしょう。

でも、大丈夫です。
この記事では、社内に相談できる人がいない状況でも、特許出願を進めるために最初に知っておくべきことを解説します。

2. まず知るべきこと:特許出願の基本

特許出願とは?

特許出願とは、「自社の新しい技術を法律で保護し、競合に真似されないようにすること」を目的とした手続きです。
特許を取得できれば、一定期間その技術を独占的に使うことができます。

ただし、特許は「とりあえず出願すればOK」ではありません。
特許の書き方次第で、その価値が大きく変わります。

とりあえず出願すると、こんな失敗が…

よくあるミスとして、「せっかく特許を取ったのに、競合が簡単に回避できてしまう」というケースがあります。
たとえば、あなたが「新しい素材を使って軽くて丈夫なカバン」を開発したとします。
そして、次のような特許を出願しました。

❌ [NG例:権利範囲が狭すぎる]
「ナイロンとカーボン繊維を組み合わせたカバン」

この場合、競合が「ナイロンとグラスファイバー」を使ってカバンを作れば特許を回避できます。
つまり、「特許を取ったのに意味がない」ということになります。

3. 絶対に気をつけるべき1つのこと

それは、「発明の本質を正しく捉え、それを広くカバーする請求項を書くこと」です。

発明の本質とは?

発明の本質とは、その技術の「一番重要なポイント」のことです。

たとえば、先ほどのカバンの例なら、

  • 何が新しいのか? → 「カバンの材料としてナイロンとカーボン繊維を組み合わせたこと」
  • どんなメリットがあるのか? → 「従来のカバンより20%軽量で、強度も向上」

この「本質」を正しく捉えたうえで、次のように請求項を書けば、競合に回避されにくくなります。

⭕ [OK例:権利範囲が広い]
「軽量かつ高強度な繊維材料を使用したカバン」

このように、技術の本質を広くカバーすることで、競合がちょっとした工夫で回避するのを防げます。
(※わかりやすさ優先の例であり、知財専門家からのツッコミはご遠慮ください!)

4. どうすればいい? 実践ステップ

特許出願を進めるには、次の3つのステップを意識しましょう。

発明の内容を整理する

  • 何が新しいのか?
  • どんな技術的メリットがあるのか?
  • 既存技術(従来技術)とどう違うのか?

まずは「この発明の一番大事なポイント」を明確にします。

権利範囲を意識する(請求項の作成)

  • 「競合がちょっと工夫しただけで回避できないか?」をチェックする
  • 特定の材料や形状に限定しすぎないようにする

権利範囲が狭すぎると、せっかく特許を取っても意味がなくなってしまいます。

自社で出願するか、専門家に相談するかを決める

  • 自社で出願する場合 → 特許庁の書き方ガイドをよく読み、書き方を慎重に検討する
  • 専門家に相談する場合 → 事前に発明のポイントを整理しておくとスムーズ

社内に知財の専門家がいない場合、「特許を取ったのに役に立たない」という失敗を避けるためにも、専門家に相談するのが無難です。

5. まとめ

  • 特許を取るなら、請求項の書き方がすべて!
  • とりあえず出願するのではなく、発明の本質を意識しよう
  • 競合に回避されない請求項を書くことが重要!

もし「自力で出願できるか不安…」「請求項の書き方に自信がない…」という場合は、特許事務所に相談するのも一つの手です。

当事務所では、初めての特許出願のご相談も受け付けています!
お問い合わせはこちらからお気軽にどうぞ!